「嫌われる勇気」を読んだ話。

「嫌われる勇気」を読んだ話。

 

 

嫌われる勇気

嫌われる勇気

 

 

何年か前に大きな話題になっていたことは知っていた。本屋さんでは堂々といろんな本よりも目立ったところに配置されていた、青い表紙の本というくらいまでには何となくイメージがついていた本だった。

 

だから何となく手を取りたくなかった。

「今これが流行っているから!」と言われるものに訳もなく拒否感を覚える私には手を取る理由が無かった。

 

それでもこの度手に取ることになった。きっかけは友人のおすすめだ。

ともすれば少しも躊躇することなく本を手に取りレジに向かう私がいた。

信頼する友人のひとことさえあれば私は本を買うことができた。

 

内容は、ほとんど私だった。

劣等感、コンプレックス、どうしようもない承認欲求を抱える青年と哲学者の対話形式の本だった。

 

共感というよりかは、私だった。

気付いたら、自分の中で強く引き付けられた言葉へのマーカーとそのページに貼った付箋は無数だった。

その本を手に取るまで自分がずっと抱えていた苦しみが少しずつ綻んでいくのが分かった。自分自身の感情、すなわち苦しいと思っていたものは実質何も変化はないけれど、自分の物の考え方で胸のつっかえが引いていくという体験をした。

 

きっと何年か前の私だったらあまり響かないんだろうなぁ、私は私なりの地獄を経験したからこそ響いた1冊なんだろうなぁと思った。

 

毒素がグスグスと抜けていくような音がした。